モバゲーという大規模サービスが持つ魅力
株式会社ディー・エヌ・エー
ポータル事業本部
システム部
アバターシステム開発グループ
岸弘倫氏
ポータル事業本部
システム部
アバターシステム開発グループ
岸弘倫氏
<経歴>
2009年3月、静岡大学情報学研究科卒業。2006年、大学4年次に大学発ベンチャーとして株式会社デザインルールを設立、代表取締役就任。Yahoo!JAPAN WEB APIコンテストでオライリー・ジャパン賞受賞。他にも、研究室で衆議院選挙予測サイト「予測市場!shuugi.in」などのWebサービスを作成・運営。2009年4月、株式会社ディー・エヌ・エーに入社。現在、ポータル事業本部システム部アバターシステム開発グループに所属。
2009年3月、静岡大学情報学研究科卒業。2006年、大学4年次に大学発ベンチャーとして株式会社デザインルールを設立、代表取締役就任。Yahoo!JAPAN WEB APIコンテストでオライリー・ジャパン賞受賞。他にも、研究室で衆議院選挙予測サイト「予測市場!shuugi.in」などのWebサービスを作成・運営。2009年4月、株式会社ディー・エヌ・エーに入社。現在、ポータル事業本部システム部アバターシステム開発グループに所属。
コンピュータへの興味
Q.意外なことに、小学校から高校まではプログラムに興味がなかったそうですね。
ええ。小学生の頃は、ゲーム作りを仕事にしたいと思っていました。「RPGツクール」というゲームを作るゲームで遊んでいることが多かったです。中学生の頃からパソコンは家にあったのですが、プログラムには特に興味ありませんでした。CGIゲームをやったり、ゲームの攻略サイトを見たりしていました。高校時代も、ネットは週に1回くらいしか利用せず、HTMLで自分のホームページを作っていた程度でした。IT自体には興味があったので、大学で本格的に勉強したいと思い、静岡大学の情報学部に入ることにしました。
Webとの出会い、起業へ
Q.大学ではどのような勉強をしたのですか?
情報学部の中でも文系寄りの学科で、情報工学的な授業はそれほど多くないところでした。たまたま、友人が出ていた講義が面白いと聞いて、その准教授の自主ゼミに参加するようになり、そのまま研究室に入ることになりました。
その研究室で、「授業で使う教育ゲームを作ってみよう」ということになり、そのときのゼミのメンバー数人でPHPを使って作り始めました。周囲もこのときにプログラミングを始めた人ばかりでしたので、お互いに教え合ったり勉強したりしながらプログラムを書くようになりました。この経験からプログラミングの面白さを知り、本格的に勉強を始めました。その時作った教育ゲームで、文部科学省が開催しているインターネット活用教育実践コンクールで佳作をいただくことができました。
大学の授業で学んだC言語に比べると、Webプログラミングでは動くものを比較的簡単に作ることができ、すぐに視覚的に作った結果を見ることができることが魅力だと思います。個人で作ることの可能な範囲が広く、様々な場面で使うアプリケーションを作ることができます。この頃から、Webの先端の話題に触れるようになりました。
大学生活を通して、教育用ゲームや研究のための実験サービスの開発をいくつか行いました。学部の研究では、当時流行っていたブログの分析をしようと、日本語のブログ記事を収集し、分析をするシステムを作りました。知り合いから「勤怠管理のソフトを作ってくれ」と言われ、作って公開したこともあります。
研究室で作ったサービスの一つに、衆議院選挙予測サイト「shuugi.in」があります。議席数を株価に見立てて取り引きしてもらうことで予測をする予測市場という仕組みを使い、衆議院選挙結果の予測をしようというサイトですが、残念ながら在学中には衆議院選挙がなくて研究にはなりませんでした(笑)。今年の選挙では、なかなかの精度の結果を出すことができたようです。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0908/31/news075.html
Q.在学中に起業したそうですね。どういう会社だったのですか?
研究室の准教授が一度企業で働いた後に大学に戻ってきた方で、大学発の会社を作りたいと考えていました。私も興味があり、是非手伝わせてもらいたいと申し出たところ、「学生に社長をさせたほうが面白い」ということで私が代表取締役として起業することになりました。それが、デザインルールという社名の会社です。2006年9月、大学4年の時のことでした。私とその准教授のほかに、研究室のメンバーにも手伝ってもらってWebサービスの開発を行いました。
会社としてサービスをいくつか出したのですが、残念ながら不発でした。その時考えていたものの一つは、普通はユーザーが検索して集める情報を、こちらからメールでレコメンドできるようなサービスなどを考えていました。しかし、会社に集まっていたのは技術に興味がある人たちが多く、どうやってサービスをビジネスとしていくかという点が弱かったのではないかと思います。一般的な人たちにも使えるようなサービスにしたかったのですが、私たちが考えた需要はキャズムの向こう側の人を対象にしたものが多く、一般の感覚とずれていたのです。
起業経験は勉強になりました。プレスリリースの打ち方とか、リリースでの注目の集め方、サービスの作り方やサーバ運用のノウハウなどが得られたのはよかったです。決算も自分でやったのですが、本当に大変でした。
Q.個人でも色々サービスを作っていますよね。
サーバさえあれば簡単にサービスを公開できるのがWebプログラミングの良いところだと思います。アイディアを形にしてそれを多くの方に使ってもらってフィードバックを得ることができることの楽しさは筆舌に尽くしがたいですね。興味のある新しい技術を試す機会になるというのも、個人でWebサービスを作るメリットの一つだと思います。
私の作ったサービスの一つの「コトバつながル!」は、Yahoo!JAPAN WEB APIコンテストでオライリー・ジャパン賞をいただけました。当時AactionScriptでFlashのプログラミングができるFlex SDKが公開されたので、勉強がてらコンテスト向けに何か作ってみようと言うことで2週間程度で作ったものでした。まさか賞をいただけるとは思わなかったので、自分でもびっくりしました。
大規模なサービスの運用が知りたいとディー・エヌ・エーへ
Q.就職活動の時のことを教えてください。
就職活動を始めたのは、修士1年の1月頃です。周囲の傾向としてSEを目指す人が多かったのですが、私は自分の興味のあったWeb系企業を目指しました。静岡から何度も東京に出るのは経済的に厳しいので、2月終わりから3月終わりくらいまでの一ヶ月間は、東京に泊まって就職活動をしていました。といっても技術系の勉強会に出てばかりいたので、後輩から「上京して就職活動をしていると思ったら勉強会に出に行っているだけじゃないですか」と言われました(笑)。勉強会ではネットで有名な方や企業の一線で活躍されている方に会えてとても刺激を受けました。また、私が主に使っていた言語はJavaだったので、Java関連のコミュニティに顔を出すようになって、注目されているOSSやモダンなプログラミングについて知ることができて勉強になりました。
Q.ディー・エヌ・エーを選んだのはなぜですか?
技術系のメーリングリストに 企業が開催しているテクノロジーセミナーの案内が流れてきて、面白そうなので行ってみました。そこで、ディー・エヌ・エーの存在を知りました。モバゲータウン自体は知っていたのですが、日頃利用するのはパソコンのサービスばかりだったため、携帯電話系のサービスを提供している会社に関してはあまり知識がなかったのですが、話を聞いたら非常に面白いことをやっている会社で、興味を持ちました。
スケーラブルなものを作る難しさは、ブログのクローラーを作っていた時に実感していました。大規模なサービスの運用にも興味があり、ユーザーを数百万人一千万人規模で集める方法も勉強したいと思っていました。1500万人のユーザーを抱えるディー・エヌ・エーならそれを学べると考えて、入社を決めたのです。
選んだもう一つの理由は、技術をビジネスに転化することに成功している有数の会社であったことです。技術に興味がある人の感覚はどうしても一般の人の感覚と乖離してしまいがちなので、いわゆるギークな人以外にもサービスを通じて接することのできるところで仕事をしてみたいと思っていました。
スピード感があり、新人でも大きな仕事に関われる
Q.具体的な仕事内容を教えてください。
モバゲータウンのアバターを作る部署で、3Dアバター(モーションアバター)を担当しています。入社時は、3Dアバターができたばかりの時でした。入社直後に3Dの画像を生成するインフラ作りに携わった後、今は3Dを使って新しいものを作る仕事に関わっています。
Linuxについてはそんなに強くなかったので、非常に勉強になっています。また、Perlを触るようになって定型処理を自動化するスクリプトをたくさん書く機会があったので、それも勉強になりました。モバゲータウン担当になり、リリースの影響の大きさや、ユーザーが1500万人を超えるサービスにおいて問題が生じた場合にどれくらい大変かも学びました。
Q.ディー・エヌ・エーの良いところはどこでしょうか。
やはり、スピード感ですね。新卒でも新しいものを生み出す仕事に関わっている人が多いです。入社後すぐに大きな仕事に関われるのはとてもやりがいがあります。私は学生時代にクローラーの研究をしていたため、入社後に検索周りの業務に携わったのですが、検索結果に関連語が出るようになるなど自分作ったものがすぐに本サービスに組み込まれたことはとても嬉しかったです。
自分だけでサービスを作っていた時は、ユーザー一人にでも使ってもらえると嬉しいかったものですが、これだけ大規模なサービスになると、どのくらいの人に利用されたのか数字で見えるので面白いし、小規模なサービスとはまた違ったやりがいがありますね。代わりに、バグなどの影響が非常に大きいので、問題が起こらないように気をつけています。問題なくリリースできた時はほっとしますね。もちろん新人なので、先輩達がきちんとバックアップをしてくれており、ソースチェックなど面倒くさいことも嫌な顔をせずに実施してくれています。
技術職の社員もビジネスサイドの社員もメンバーがとても優秀で、話していて面白い人が多いです。決断が早くて、それぞれできちんと判断できているところもすごいと感じます。気さくな人が多いので、人間関係に悩まされることなく仕事に打ち込めています。
自分の役割を果たしつつ自発的に動けることが重要
Q.自分一人でサービスを作ることと、会社に勤めることの違いはどんなところだと思いますか?
個人で新しく作る時は自分が思うままに作ればいいですが、会社で既に作ったものを改良したり不具合を直したりする時には、何が求められているのかを考えた上でのプログラミングが必要です。一方で、それまでは自分の頭の中で考えているだけだったことが既に実装されているので、それを見て勉強できるところがいいですね。
学生の頃は企画から実装まで全部ほぼ一人で行うことも稀ではないですが、会社ではある程度分業が進んでいるので、企画やプログラミングなどそれぞれ専門の担当者がいます。自分の役割を果たすことが求められるので、プログラマーの視点として出すべきアイディアをきちんと伝えていかなければいけない面はあります。たとえば企画の人に対して、「(そのように利用したいなら)このような機能が実装できる」「(その要望は)システム的に実現するのは難しい」など提案できるのは、技術者ならではです。一方で、自分では思いつかないようなアイディアが出てくるところも、複数人で仕事をしていることならではです。
Q.ディー・エヌ・エーにはどんな人が向いていますか。
自発的に勉強できて、新しい情報を追える技術者に入ってほしいですね。「仕事だから」と割り切ってやっていると限界がくるし、面白くないですから。探求心があって、ビジネス的なことにも興味がある人がぴったりですね。
影響の大きなサービスに関わるチャンス
Q.ディー・エヌ・エーでどんなことを学んでいますか。
大学時代にサービスを作ったときに足りなかった、マネタイズするセンスやユーザーの求めていることを実現する方法などを中心に学んでいます。サービスを出した時に、実際どのくらい使われるかの見積もりも勉強になります。技術に偏るのではなく、ビジネス的な視点が持てるようになったので、今後もっと身につけたいですね。技術をビジネスにつなげたいし、せっかくサービスを出すからには失敗したくないですからね。
私は、BtoBではなく、BtoCのサービスに特に興味があります。ユーザー向けのサービスは、たとえばTwitterなどコミュニケーションのあり方自体を変えるようなものも出てくるので、そういうものに今後も関わっていけたらと思っています。
Q.注目していることはどんなことですか。
注目しているサービスは、pixivです。アイディアも良く、軌道に乗せるまでやれているところがすごいと思っています。また、Twitterのようなリアルタイム・ウェブの情報の使い方にも興味があります。FlashやiPhoneのようなインタラクティブなリッチインターフェイスにも関心がありますね。また、現在仕事で画像に関わるものに触れているため、画像処理系技術にも興味が出てきており、個人的に調べたりしています。
「モバゲーに新しい機能が入った」と聞けば、何が面白いのか自分で触って確かめています。携帯電話のGPS機能を使ったゲーム「位置ゲー」や最近ですとセカイカメラなどが注目されましたが、そういう機能を入れられないかなと思ったりもしています。会社には一日10時間くらいいますが、会社から帰ってからも最低1時間くらいは個人的な興味で勉強したり、プログラムを書いたりしていますね。
Q.今後、ディー・エヌ・エーでしたいことは何ですか。
今ソーシャル性をうまく使ったサービスが注目されているので、エッセンスを理解し、ディー・エヌ・エーでヒットするものを作りたいですね。ユーザーがいてこそのソーシャルなので、多くのユーザーを抱えているサービスに関われる今は、それを試すチャンスだと思うのです。
また、モバゲーには既に大規模なデータがあるので、レコメンドやデータマイニングのようなウェブから一歩離れたものに関われたら楽しいだろうとも思っています。それによってユーザーの使い勝手を上げたいですね。即時性が高い情報が集まっているので、そこから流行が追えたりしても楽しいかもしれないですよね。モバゲータウン自体、ユーザー数が多くて刺激的なサービスなので、自分自身も刺激を受けて色々なアイディアが湧いてきます。
社名
株式会社ディー・エヌ・エー
設立
1999年
代表
代表取締役社長 南場智子
事業内容
オークション&ショッピングサイト「ビッターズ」、ケータイオークションサイト「モバオク」などを手がける。
2005年2月、東証マザーズに上場。2006年よりケータイ総合ポータルサイト「モバゲータウン」開始。2007年12月、東証一部に上場。
従業員
連結:648名(単体:451名) 2009年7月末現在








